ハイコンテントスクリーニング:細胞を用いた創薬・化合物スクリーニング

試験概要

ハイコンテントスクリーニング (HCS) とは、蛍光顕微鏡・フローサイトメーター・ハイスループットスクリーニングの各解析の利点を備えた解析方法であり、ハイコンテントアナリシス (HCA) と呼ばれることもあります。細胞ベースでの高速イメージング解析を可能とし、細胞のイメージングから画像データの定量的解析、解析結果の提示まで一貫して行うことができます。特に接着細胞の解析に効果を発揮します。

創薬分野における化合物・抗体医薬・核酸医薬などの評価として、細胞を用いたスクリーニング試験を実施します。また、化粧品・機能性食品における新規素材探索などを目的としたスクリーニング試験も承っております。更に再生医療の分野でも利用できます。

弊社では、HCS機器として、Operetta CLSとOpera Phenix Plus (レビティ社製) を導入しています。Operetta CLSおよびOpera Phenix Plusは、高速かつ高解像度で様々なアプリケーションに対応できるHCS機器として、世界トップクラスのシェアを誇ります。これらの機器を用いて各種細胞を用いたオーダーメイドの試験を行います。

お気軽にお問い合わせ下さい。

使用機器

Operetta CLS (Revvity)

Opera Phenix Plus (Revvity)

ハイコンテントアナリシスの特長

  • 個々の細胞から様々な定量データが得られる
  • 形態や局在などの細胞特徴も定量化できる
  • 大量サンプルを高速で処理可能
  • 接着細胞・三次元構造体をそのまま解析できる
  • 測定から解析までが一体化
  • 様々な解析アプリケーション
  • 高度な解析が可能

画像解析アプリケーション例

解析のカスタマイズや、他のイメージング機器で行ったプロトコルの再現などにも対応させていただきます。
お気軽にお問い合わせください。

正確な細胞などの認識

Operetta CLSとOpera Phenix Plusは、イメージングした画像データから、非常に高精度な細胞などの認識を自動で行うことができます。

アポトーシスの解析例

HeLa細胞にスタウロスポリンを処理することで、アポトーシスを誘導しました。薬剤で4時間処理した後、固定し、核をDRAQ5 (赤色) およびアポトーシスの制御因子であるCaspase-3をAlexa488標識anti-Caspase3抗体 (緑色) で染色しています。スタウロスポリン濃度に依存して、Caspase-3が活性化され (左グラフ)、核凝集、核の断片化 (右グラフ) が起こっていることがわかります。このように、多段階濃度 (複数) のサンプルに対し、Caspase-3活性や核のサイズ、断片化率といった複数のパラメータを同時に解析することができます。

神経突起の解析例

ラット初代後根神経節細胞と星状膠細胞を4日間共培養し、NGFおよび各化合物 (Comp. A、Comp. B) を投与して27時間後に核をDRAQ5 (赤色) で、神経細胞をAlexa 488認識anti-Tuj1抗体 (緑色) で染色しました。Tuj1染色画像から神経突起の領域を認識させて面積を定量しました。Operetta CLSとOpera Phenix Plusでは、多数の濃度条件で化合物を処理したサンプルのイメージ解析を高速・高解像度で行うことが可能であり、神経突起領域の減少を指標に化合物の神経毒性濃度域を調べることができます。

その他

siRNAによる遺伝子ノックダウン試験や、遺伝子強制発現試験をとり入れて試験する事もできます。
浮遊細胞の場合には、フローサイトメーターで解析するとより効果的です。
     

参考文献

●オリゴデンドロサイトの分化の定量、組織切片上のMBP量の数値化
Drug-based modulation of endogenous stem cells promotes functional remyelination in vivo
Najm FJ et al., Nature 2015

●筋管細胞の分化の定量
Genome-Wide Exploration of miRNA Function in Mammalian Muscle Cell Differentitation
Polesskaya A et al., PlosOne 2013

●スフェロイド形成の確認
Evaluation of chemotherapeutics in a three-dimensional breast cancer model
Lovitt CJ et al., J Cancer Res Clin Oncol. 2015

●タンパク質間相互作用を利用したスクリーニング手法
Visualization and targeted disruption of protein interactions in living cells
Herce HD et al., Nat Communications 2013

●BERTによるタンパク質間相互作用の測定
Nanoluciferase Signal Brightness Using Furimazine Substrates Opens Bioluminescence Resonance Energy Transfer to Widefield Microscopy
Jiho Kim, Regis Grailhe., Cytometry A. 2016


※博士号保持者が中心となって試験を担当します。